中古マンションの築年数でリノベーション費用は変わりますか?

はい、一般的に築年数が古いほど、リノベーション費用は高くなる傾向があります。

目次

築年数が古いほど、リノベーション費用が高くなる理由

築年数が古い中古マンションのリノベーション費用が高くなる背景には、いくつかの複合的な要因が存在します。例えば、「築年数が経つにつれて建物の劣化が進み、修繕や交換が必要な箇所が増える」などや、「現代のライフスタイルに合わせた間取りに変更する場合、築年数が古いほど大掛かりな工事が必要になる」などが挙げられます。

1. 見えない部分の経年劣化と修繕・交換の必要性

  • 給排水管・給湯管の劣化
    長年使用された配管は、サビや腐食、詰まりのリスクが高まります。漏水事故につながる可能性もあるため、築20年を超えると給排水管の交換を検討するケースが増えます。特に、コンクリートに埋め込まれた配管の交換は大掛かりな工事となり、費用も高額になります。
  • 電気配線の老朽化
    電気配線も年月の経過とともに劣化し、被覆のひび割れや絶縁不良などが起こりやすくなります。現代の家電製品の使用量に耐えられない場合もあり、安全性を確保するために配線の引き直しが必要になることがあります。
  • 断熱材の性能低下
    古いマンションでは断熱材が使われていなかったり、性能の低い断熱材が使用されていたりすることがあります。断熱性能が低いと、冷暖房効率が悪く、光熱費がかさむだけでなく、結露によるカビの発生にもつながります。断熱材の入れ替えや追加工事は、内装を剥がして行うため、費用がかかります。
  • 下地の劣化
    壁や床の下地(石膏ボードや構造用合板など)も、湿気や経年変化によって劣化している場合があります。これらの下地が傷んでいると、壁紙や床材の仕上がりに影響が出たり、強度不足につながったりするため、補修や交換が必要になることがあります。

2. 現代のライフスタイルに合わせた間取り変更のニーズ

  • 間取りの細分化
    昭和の時代に建てられたマンションは、個室中心で廊下が長いなど、現代のオープンなLDKを中心とした間取りとは異なるケースが多く見られます。壁の撤去や移動、新たな壁の設置といった間取り変更は、構造によっては大掛かりな工事を伴い、費用も増加します。
  • 収納スペースの不足
    現代の住宅に比べて、古いマンションは収納スペースが少ない傾向があります。ウォークインクローゼットの新設や収納スペースの増設は、間取りの変更と合わせて行われることが多く、工事費用に影響を与えます。

3. 旧耐震基準への対応と耐震補強工事

  • 耐震基準の違い
    1981年6月以前に建築確認申請がされたマンション(旧耐震基準)は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。大地震に対する安全性を確保するため、耐震補強工事が必要になる場合があります。耐震補強工事は、壁の増設や補強、柱の補強など、専門的な知識と技術が必要なため、高額な費用がかかります。

専有部のリノベーションでマンション「全体」の耐震性を向上させることはできません。耐震補強は基本的に共用部の問題であり、管理組合主体で行われます。

4. 設備の老朽化に伴う交換の必要性

  • 水回り設備の寿命
    キッチン、バスルーム、トイレ、洗面台などの水回り設備は、一般的に15~20年程度が交換の目安とされています。築年数が古いマンションでは、これらの設備が既に寿命を迎えているか、近い将来交換が必要になる可能性が高く、リノベーション費用に組み込む必要があります。
  • 給湯器・空調設備の交換
    給湯器やエアコンなどの設備も、経年劣化により故障しやすくなります。最新の省エネ性能の高い設備に交換することで、ランニングコストを抑えることができますが、初期費用はかかります。

5. スケルトンリフォームの選択肢と費用

  • 自由度の高さと費用
    築年数が古いマンションでは、既存の内装や設備をすべて取り払い、構造躯体のみの状態にしてからつくり直す「スケルトンリフォーム」を選択する方も多くいます。スケルトンリフォームは、間取りやデザイン、設備などを自由に設計できるメリットがありますが、解体費用や新規の設備・内装費用がかかるため、比較的高額になります。

しかし、費用だけでなく、築年数によってリノベーションの可能性や注意すべき点も異なります。

「どれくらいの費用を見ておけば理想の暮らしが叶うの?」

そんな疑問をお持ちの姫路市民の皆様に向けて、本日は築年数別に姫路の中古マンションリノベーション費用の相場と、リノベーションを成功させるための重要なポイントを取り上げます。

築年数別のリノベーション費用相場

姫路市内の一般的な中古マンションの専有部を想定し、リノベーション費用の相場を築年数別にまとめました。あくまで目安として参考にしてください。

【築10年~20年】

  • 費用相場(専有部): 300万円~700万円程度
  • 工事内容の目安
    • 専有部の内装のリフレッシュ(壁紙、床材の張り替えなど)
    • 専有部分の水回り設備の交換(キッチン、浴室、トイレ、洗面台など)
    • 専有部分の収納の増設
    • 専有部分の間取りの軽微な変更(一部壁の撤去など)
  • ポイント
    比較的築浅のため、専有部分の構造躯体の状態が良い場合が多く、内装や設備のグレードアップを中心としたリノベーションが可能です。最新の設備を取り入れることで、快適性が向上します。
中古マンションの築年数でリノベーション費用は変わりますか?
築10年~20年に適した年齢層・家族層(想定)
  • 20代後半~40代の共働き夫婦、DINKS
    比較的築浅で大きな構造変更が不要な場合が多く、自分たちの好みに合わせた内装や設備へのアップデートが中心となるため、比較的予算を抑えつつ理想の空間を実現しやすい。
  • 小さなお子様のいるファミリー層(子育て初期)
    まだ子供部屋の独立性などを重視しない時期であれば、既存の間取りを活かしつつ、安全性や機能性を高めるリノベーションに向いている。
  • シングル層(ライフスタイル重視)
    比較的状態の良い物件を選びやすく、自分の趣味やライフスタイルに特化した空間を作りやすい。

【築20年~30年】

  • 費用相場(専有部): 500万円~1000万円程度
  • 工事内容の目安
    • 上記に加え、
    • 専有部分の給排水管、ガス管などの配管の交換(管理規約による制限あり)
    • 専有部分の電気配線の見直し・交換
    • 専有部分の断熱工事(可能な範囲で)
    • 専有部分の間取りの大幅な変更(壁の移動、間取りの再構成など)
  • ポイント
    専有部分の目に見えない部分の劣化が進んでいる可能性があるため、配管や電気配線などの基礎部分の改修も視野に入れる必要があります。間取りを大きく変更することで、ライフスタイルに合わせた住空間を実現できます。
中古マンションの築年数でリノベーション費用は変わりますか?
築20年~30年に適した年齢層・家族層(想定)
  • 30代後半~50代のファミリー層(子育て期)
    ある程度まとまった予算をかけて、子供部屋の増設や間取りの変更を行い、家族構成やライフスタイルの変化に対応した住まいづくりを検討する層。
  • セカンドライフを見据える夫婦
    将来を見据えて、バリアフリー化や収納の充実など、長く快適に住めるためのリノベーションを検討する層。
  • 空間デザインにこだわりたい層
    間取りの自由度が高いため、自分だけの個性的な空間を創り上げたいという意欲のある層。

【築30年以上】

  • 費用相場(専有部): 700万円~1500万円以上
  • 工事内容の目安
    • 上記に加え・・・
    • スケルトンリフォーム(専有部の内装を全て解体し、構造躯体からつくり直す)
    • 専有部分の給湯器、エアコンなどの設備交換
  • ポイント
    専有部分の構造躯体の状態によっては、大規模な改修が必要になる場合があります。スケルトンリフォームを行うことで、新築同様の間取りや設備、性能に生まれ変わらせることが可能です。長期的な視点で、安心・快適な住まいづくりを検討しましょう。ただし、築年数が非常に古いマンションの場合、建物全体の老朽化や将来的な建て替えリスクなども考慮する必要があります。
中古マンションの築年数でリノベーション費用は変わりますか?
築30年以上に適した年齢層・家族層(想定)
  • 40代~60代以上の幅広い層(長期的な視点)
    大規模なリノベーションを行うことで、新築同様の性能や間取りを手に入れ、長期的に安心して住みたいと考える層。
  • 広い住空間で、将来的な二世帯同居も視野に入れる層(広い物件限定)
    例えば100㎡を超えるような広い専有面積を持つ物件を選び、将来的に親との同居なども見据えて、可変性のある間取りや、それぞれのプライベート空間を確保しやすい間取りへのリノベーションを検討する層。ただし、マンションの構造や管理規約上、水回りの増設や大幅な移動は困難な場合が多く、完全な二世帯分離は難しい点に注意が必要です。

上記費用相場は、工事内容を十分に見積もった内容になります。また、マンションの広さや専有部分の工事内容、使用する建材・設備のグレードによって大きく変動します。

リノベーションは、売却時の価値向上を主目的とするのではなく、あくまで自分たちの居住満足度を高めるための投資と捉えることが賢明です。適切にリノベーションされた住まいは、同じ築年数の未改装物件と比較して、将来的に売却や賃貸がしやすくなる可能性はあります。

ちなみに、事例で紹介している築49年60㎡のマンションだと、

  • 間取り変更(3DK→1LDK+WIC)
  • 建具交換
  • 可動棚設置
  • 天井・壁 クロス交換
  • 床 フロアタイル交換
  • 窓・網戸・サッシ交換
  • エアコン交換
  • システムキッチン交換
  • 水廻り交換
  • 壁・天井造作
  • 配管交換
  • その他

上記の工事内容で、700万円ほどのリノベーション費用となっています。

共用部のリフォーム・修繕について

上記はあくまで専有部分のリノベーション費用相場です。マンション全体の維持・管理に関わる共用部のリフォームや修繕は、管理組合が主体となって計画・実施され、費用は管理費や修繕積立金から捻出されます。

共用部のリフォーム・修繕の例としては、以下のようなものがあります。

  • 外壁塗装、屋上防水工事
  • エントランス、廊下などの改修工事
  • 給排水管、電気設備の更新工事(共用部分)
  • エレベーター、オートロックなどの設備改修・交換
  • 耐震補強工事(マンション全体)

中古マンションを選ぶ際には、共用部の修繕履歴や修繕計画、修繕積立金の状況などを確認することが非常に重要です。これらが適切に行われているマンションであれば、将来的な修繕費用の負担を抑えることができ、安心して長く住むことができます。

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