姫路市内で購入検討している中古住宅で、元の設備機器が使えそうなのでそのまま使用しようと考えていますが、リフォームした方がいいでしょうか?

購入検討している中古住宅で、元の設備機器が使えそうなのでそのまま使用しようと考えていますが、リフォーム(交換)した方がいいでしょうか?

見た目で判断せず、まずは契約前に必ず設備の動作確認を行ってください。特に製造から10年近く経っている機器は、入居後の故障や光熱費のリスクを考えると、リフォーム(交換)するのが安心です。


「購入するお家の設備、まだキレイで使えそう!ラッキー!」
「リフォーム費用を抑えたいから、使えるものはそのまま使いたいな」

中古住宅の内覧をしていると、そんな風に思うことがよくあります。しかし、その判断、少しだけ立ち止まって考えてみませんか?

「まだ使える」と思って入居したのに、引越しの翌週に給湯器が壊れて数十万円の急な出費が…!なんてことは、中古住宅では決して珍しい話ではありません。

そこで今回は、中古住宅の設備を「リフォームする?しない?」で後悔しないための、判断ポイント契約前に必ずやるべき「設備動作確認」の完全手順を徹底解説します!

目次

判断の分かれ道は「寿命」と「性能」

「まだ動くから大丈夫」という考えは少し危険。判断の基準にしたいのは、主に以下の2つです。

チェックポイント①:設備の「製造年」と「寿命」

どんな設備にも人間と同じように寿命(耐用年数)があります。まずは、各設備の「製造年」を確認し、一般的な寿命と照らし合わせてみましょう。製造年は、機器本体に貼られているシール(銘板)で確認できます。

設備機器名一般的な寿命の目安確認のポイント
給湯器
(最重要!)
10年〜15年突然壊れるとお湯が使えず生活に大きな支障が出ます。10年近く経過している場合は交換を検討するのが安心です。
エアコン10年正常に動くかはもちろん、フィルターの汚れやカビ臭さも確認。古い機種は電気代が高くなる傾向があります。
ガスコンロ/IH10年〜15年毎日の料理で使う重要な設備。火の付き具合や火力の安定性を確認しましょう。
換気扇10年〜15年異音はしませんか?吸い込みは弱くなっていませんか?特に浴室の換気扇は湿気対策の要です。
温水洗浄便座7年〜10年意外と寿命が短い設備の一つ。ノズルや暖房機能が正常に動くか確認が必要です。

製造年から10年近く経っている設備は、たとえ今動いていても、いつ故障してもおかしくない状態です。入居後の突然の故障と出費を避けるため、購入時のリフォームで一緒に交換してしまうのが賢明な選択と言えるでしょう。

チェックポイント②:省エネ「性能」と日々のランニングコスト

10年以上前の設備と最新の設備とでは、省エネ性能が大きく異なります。

例えば、古いエアコンや給湯器は、光熱費が高くなる原因になっているかもしれません。購入時にリフォーム費用はかかりますが、最新の省エネモデルに交換することで、月々の電気代やガス代が安くなり、長期的に見ればトータルコストでお得になるケースも多いのです。

新しいお家での快適な生活と、将来的な家計のためにも、性能面からのチェックは欠かせません。

【契約前が鉄則!】後悔しないための「設備動作確認」

「どうやって確認すればいいの?」その答えは、「契約前に、ご自身の目で一つひとつ動作確認をさせてもらう」ことです。これは、買主様の正当な権利であり、後悔しないための最強の自衛策です。

ステップ1:事前準備と確認のタイミング

まずは準備から。内覧当日に慌てないよう、事前にしっかり段取りをしましょう。

  1. 確認リストの作成: リフォームせずに使いたい設備(給湯器、エアコン、キッチン、トイレ、インターホンなど)をすべてリストアップします。機器の製造年も必ず確認項目に加えましょう。
  2. 仲介業者への依頼: 不動産会社の担当者に「契約前に、付帯設備表に記載のある設備の動作確認をしたい」とハッキリ伝えます。売主様の許可が必要なので、早めに依頼するのがポイントです。
  3. 「付帯設備表」の事前入手: 売買物件にどんな設備が付いてくるのか、そしてそれに故障や不具合が無いとされているか、を記載した「付帯設備表」を事前にもらい、内容を把握しておきましょう。当日はこの書類と照らし合わせながら確認します。

ステップ2:主要設備ごとの動作確認ポイント

事前に許可が取れていて、電気・水道・ガスが使える状態になっているのであれば、以下のリストを参考に、一つひとつ丁寧にチェックしていきましょう。

設備確認項目具体的な確認手順
給湯器正常作動、異音、異臭リモコンの電源を入れ、設定温度のお湯を出します。キッチン、洗面所、浴室の複数箇所で「設定通りのお湯が安定して出るか」を確認。給湯器本体の製造年も忘れずに写真に撮っておきましょう。
キッチンコンロの着火、換気扇の動作ガスコンロは全ての口がスムーズに着火し、炎が均一に出るか確認。IHコンロは電源が入り、火力調整ができるか見ます。換気扇は電源を入れ、異音がないか、ティッシュなどが吸い付くかを確認して吸い込み力をチェックします。
トイレ温水洗浄便座の機能暖房便座は温かいか、リモコンの洗浄ボタンを押してノズルから水が出るか、水勢の調整はできるかなど、一通りの機能を確認します。
水栓全般水漏れ、排水、水圧キッチン、洗面所、浴室、洗濯機置き場など、家中の全ての蛇口をひねります。水の勢い(水圧)は十分か、蛇口の根元や下の収納内で水漏れはないか、水を流した際にスムーズに排水されるかを確認します。
エアコン冷暖房の効き、異音、異臭全ての部屋のエアコンをリモコンで運転させます。冷房・暖房の両方を試し、きちんと冷風・温風が出るかを確認。運転中に変な音やカビ臭いニオイがしないかも重要です。
エアコン冷暖房の効き、異音、異臭全ての部屋のエアコンをリモコンで運転させます。冷房・暖房の両方を試し、きちんと冷風・温風が出るかを確認。運転中に変な音やカビ臭いニオイがしないかも重要です。
床暖房正常作動、暖まり具合リモコンの電源を入れ、運転を開始します。床が暖かくなるまで時間がかかる場合があるため、内覧の最初にスイッチを入れるのがおすすめです。複数のエリアに分かれている場合は、それぞれが作動するか確認します。異音や焦げ付くような異臭がないかも確認しましょう。
その他換気扇正常作動、異音浴室やトイレ、24時間換気システムのスイッチを入れ、正常に作動し、異音がしないか確認します。
分電盤容量(アンペア数)分電盤のメインブレーカーに書かれているアンペア数を確認します。30Aなど容量が小さい場合、現代の生活ではブレーカーが落ちやすいため、容量アップの工事が必要か検討材料になります。
コンセント等通電、数と位置携帯電話の充電器などを持参し、各部屋のコンセントが通電しているかチェックします。スイッチを押して照明がつくかも確認しましょう。
インターホン通話、映像実際に玄関のチャイムを鳴らし、室内親機で応答します。音声はクリアか、モニター付きの場合は訪問者の顔がきちんと映るか確認します。

ステップ3:不具合が見つかった場合の対応

もし動作確認中に不具合を見つけたら、冷静に以下の対応を取りましょう。

  1. 記録する: 不具合の箇所をスマートフォンで写真や動画に撮って証拠を残します。
  2. その場で報告する: 同行している仲介業者の担当者にすぐに報告し、状況を一緒に確認してもらいます。
  3. 売主への交渉: 「付帯設備表」に「故障・不具合なし」と記載されているのに動かない場合、売主の責任で修理してもらうか、修理費用相当額を価格から値引きしてもらう交渉をします。これは契約前の非常に重要な交渉です。

【要注意】電気が止まっていて確認できない場合は?

空き家期間が長い物件など、電気・水道・ガスが止められているケースは非常に多いです。空き家期間が短い場合でも、電気・水道は使えても、ガスは止めている物件は多いです。実際、居住中でない中古住宅の場合、電気・水道・ガスがすべて使える状態はまずないです。

なので、最善策としては、一時的な開通を交渉することです。 開通費用(数千円〜)がかかる場合もありますが、数十万円の修理リスクを回避できる保険だと考えれば、決して高くはありません。

もし、どうしても開通が難しいと言われた場合(多分、ほとんどこのケースになるでしょう)は、必ず契約書に以下のような内容の特約を追加してもらうように交渉した方がいいです。

提案1:「修復または同等品への交換」としてもらう

故障が判明した場合に、売主が責任を持って修理するか、適切な代替品に交換することを明記する特約です。

  • 特約の例文:
    「…故障・不具合が発見された場合は、売主の責任と負担において修復、または同等品への交換を行うものとする。」
  • メリット:
    • 修理が不可能な場合に「交換」という選択肢が生まれ、動かないまま放置されるリスクを回避できます。
    • 売主が修理・交換の手配や費用負担を行うため、買主の直接的な手間は少ないです。
  • デメリット:
    • 「同等品」の解釈で揉める可能性があります。売主はできるだけ安価な製品を選びたい、買主は元の製品と同等かそれ以上の性能を求めたい、という認識のずれが生じることがあります。
    • 修理や交換の手配は売主側が行うため、買主が希望するタイミングや業者を選ぶことができません
    • 修理の場合、一時しのぎとなり、すぐに別の箇所が故障して結局買主が費用負担するリスクが残ります。
    • 売主が手配する修理や交換に時間がかかり、入居後の生活に支障が出る可能性があります。

提案2:費用の負担を明確にする(金銭での解決)

故障が判明した場合、売主が修理や交換を行うのではなく、買主に対してその費用を直接支払うことを明記する特約です。

  • 特約の例文:
    「…故障・不具合が発見された場合は、当該設備の修復または交換にかかる費用として、金〇〇万円を売主が買主に支払うものとする。」
    (※ 金額は、給湯器なら20~30万円、エアコンなら15~20万円など、交換にかかるおおよその相場を参考に、事前に複数見積もりを取って設定すると良いでしょう。)
  • メリット:
    • 買主が好きな機種を選べる:受け取った費用で、最新の省エネモデルなど、自分の好きな製品・信頼できるメーカーに交換できます。
    • トラブルが少ない:修理のレベルや業者選定で揉めることがなく、金銭の支払いでスピーディに解決します。
    • 売主との交渉が比較的しやすい:売主にとっても、上限額が明確なため、予期せぬ高額な交換費用を請求されるリスクがなく、合意しやすい場合があります。
  • デメリット:
    • 設定した金額が実際の修理・交換費用よりも不足する可能性があります。例えば、給湯器の交換費用を20万円と見積もったが、特殊な設置で30万円かかった場合、その差額は買主負担になります。
    • 複数の設備が壊れていた場合、それぞれに金額を設定する必要があり、交渉が複雑になる可能性があります。
    • 売主がこの提案を「物件価格の値引き」と捉え、特約そのものを拒否したり、交渉が難航したりする可能性もあります。

提案3:買主主導での対応を認めてもらう(上限額付き)

故障が判明した場合、買主が業者を手配し、その費用を売主が負担することを明記する特約です。売主の費用負担には上限額を設定することが一般的です。

  • 特約の例文:
    「…故障・不具合が発見された場合は、買主が手配した業者による見積もりに基づき、その修復または交換費用を売主が負担するものとする。(ただし、1件あたり上限額〇〇万円とする。)」
  • メリット:
    • 買主が信頼できる業者を選べるため、質の低い修理をされる心配がありません。
    • 買主の希望するタイミングで修理・交換を進めることができます。
    • 売主にとっても費用の上限が明確なため、予期せぬ高額請求の不安が軽減され、交渉がスムーズになる場合があります。
  • デメリット:
    • 上限額を超過した場合の費用は買主負担となります。
    • 見積もり取得や業者とのやり取りなど、買主自身に手間がかかることになります。
    • 売主によっては、買主が選んだ業者を認めず、売主指定の業者に見積もりを取らせようとするなど、交渉が難航する可能性があります。
    • 上限額の設定自体が売主との交渉ポイントとなり、買主が納得できる金額にできない場合があります。

いずれにしても、契約書にサインをする前に、「もし壊れていたら、具体的にどう対応してもらえるのか?」を明確にし、それぞれのメリット・デメリットを比較検討した上で、ご自身にとって最も安心できる内容の特約となるよう、仲介業者を通じて売主と交渉することが、引き渡し後の予期せぬ出費やストレスからご自身を守るための最も有効な手段です。


中古住宅の設備をそのまま使うか、リフォームするか。その判断は、これからの新生活の快適さや家計に大きく関わってきます。

  • 「寿命(製造年)」を確認し、故障リスクを予測する
  • 「性能」を比較し、長期的なコストを考える
  • 「契約前の動作確認」を徹底し、万が一のリスクに備える

この3つのポイントをしっかり押さえることが、後悔しないためのカギとなります。

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